スケジュールは作るのと同じくらい「切り直し」が大切

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この記事は デジタルキューブ & ヘプタゴン Advent Calendar 2022 の 12月24日分の記事として執筆しています。

さて、タイトル以上でも以下でもない主張なのですが、重要なことなのでもう一度書きます。

スケジュールは作るのと同じくらい「切り直し」が大切です。

このブログで伝えたいことはこれで以上です。結論ファーストです。

優しい方、お時間のある方、詳しく知りたいという方はこれ以下も読んでいただければ幸いです。

ちなみに、スケジュール感覚がない人や、他の人を待たせたりスケジュールを遅延させたりすることに何の気持ちも起こらない人は、逆に読んでいただかない方が良いかもしれません。

脈絡ないですが、夜明けです。

プロジェクトにおいてスケジュールの設定と管理は無くてはならないもの

まずそもそもスケジュールって何なのか?という話ですが、PMBOK 第7版によると以下のようにあります。

独自のプロダクト、サービス、所産を創造するために実施される有期的な業務。プロジェクトの有期性とは、プロジェクト作業やプロジェクト作業のフェーズに明確な始まりと終わりがあることを示している。プロジェクトは単独で実行されることもあるし、プログラムやポートフォリオの一部として実行されることもある。

PMBOK 第7版 プロジェクトマネジメント標準 第1章 はじめに より引用

プロジェクト=有期的な業務 なので、プロジェクトを進める上でスケジュールの設定と管理はなくてはならないものということですね。

ゆえにプロジェクトマネジメントに関わる人は、何はともあれ始めにスケジュールを立て、まずそのスケジュールに則って進行していきます。

初めに立てたスケジュールの真の意味

ですが、各フェーズが予定通りに進んで、予定納期に間に合うことはほぼありません。 予定作業が思ったよりも膨大だったり、別の優先的なタスクが突然入ってきてそれに忙殺されたり、ステークホルダーと突然連絡がつかなくなったりするなど、予期していないことが普通に起こるためです。

私個人の体感値として「当初のスケジュール通りに、各フェーズが進行」できる割合は以下の通りです。

  • ウェブサイトの部分的な改修など、比較的小規模な案件: 50%
  • サイト構築などの比較的大きめの案件: 0%

ちなみに「当初のスケジュール通りに、最終的な納期に完了できる」割合の体感値は以下の通りです。

  • ウェブサイトの部分的な改修など、比較的小規模な案件: 95%
  • サイト構築などの比較的大きめの案件: 90%

過去の記憶は美化されるものなので、この数字は多少盛っているかもしれません。とはいえ何が言いたいかと言うと「スケジュールの切り直しはほぼ全ての案件で発生する」ということであり、それを「どうにかして最終納期に間に合わせる」のがプロジェクトマネジメントだと思っています。

だいぶ前ですが、日経クロステックの記事にもこんな一節があります。

プロジェクトの本質とは

プロジェクトとは、「やったことがないことを、何が起こるのか分からないのに計画して、予定通りのモノ(コト)を期限までに作り上げる(終らせる)こと」です。プロジェクトを立ち上げるときには、分かっていることが少ない状況下で、先行して結果を約束しなければなりません。プロジェクトの本質は、このやってみないと分からないという「不確実性」にあります。プロジェクトは終始、不確実性に支配されているのです。

逆に言えば、不確実性のない仕事はプロジェクトではありません。不確実性がなければ、プロジェクトとして立ち上げる価値が生まれないからです。「新しい技術」や「不安定な要求」「スケジュールの制約」などの不確実性の源泉となるものが、プロジェクトの価値を生み出します。そこに市場や顧客はお金を払うのです。

つまり、プロジェクトの成功は「いかに不確実性を乗りこなすか」にかかっていると言えます。プロジェクトマネジャーには、不確実性を嘆くのではなく、それを価値の源泉として捉え直し、前向きに乗りこなす姿勢が求められます。

プロジェクトの本質とはなにか | 日経クロステック(xTECH) より引用

やったことがないことを、何が起こるのか分からないのに計画して、予定通りに進むわけがない。

逆にいうと、はじめに立てたスケジュールは「仮置き」以外の何でもないということなんですね。

これは同記事にも掲載されている不確実性コーンの図を見ても明らかです。全体像が見えていないし決まってもいない初期フェーズで完璧なスケジュールなんて立てられるわけがないのです。

不確実性コーン

日経クロステック プロジェクトの本質とはなにか より引用

初めにスケジュールを立てる意味はないのか?

じゃあ、どうせブレがあるなら、初めのスケジュールなんて意味ないんじゃないの? と思った方へ。そんなことはありません。始めのスケジュールを守らなくても問題ないよねということでもありません。

むしろ、はじめにスケジュールを立てて、そのスケジュールに沿って進んでみることは超重要です。初めに計画がなければ、プロジェクトが破綻する可能性はかえって高まります。

目安や見立てがあることで、まずその目標に向かって進めることができますし、スケジュール通りに進められないということがわかれば、当初のスケジュールをベースに振り返りを行って、軌道修正をすることができるからです。

スケジュール管理における“あるある”ケース

翻って、現場でよくありそうなケースを紹介します。

スケジュールの確認をされて、OKそうだと思ったのでAというタスクの依頼を受けた

↓

BやCやDなどの予期していなかったことで時間を取られて、Aに手が付けられない

↓

依頼者に申し訳ないのでAのスケジュール変更を言い出せない

↓

期限日が近いけど、どうせ遅れているし今からやっても間に合わない。
着手したくなくなる

↓

着手しないまま期限日がすぎそうになる。もはや他のタスクとの優先度がわからない。
余計やりたくなくなる

↓

見かねたプロジェクトマネージャーがAタスクを別担当に付け替える。
最終納期が近いので別担当が寝ないでやる

かくいう私も似たようなことはあります。

むちゃくちゃ辛いですよね。

スケジュール通りに行かなくて、切り直しもできず、期限日切れのタスクが積もってしまう状態は精神的にも良くないです。

加えて、焦りだけが前に出てきてしまって、他のタスクとの兼ね合いでの優先度がわからなくなって全部中途半端になるのも良くない。

というか、期限切れのタスクが溜まっている状態は、実はリスクしかありません

てなわけで。

スケジュール的に無理な場合はプロジェクトマネージャーに改めてスケジュールの切り直しが必要なことを伝えましょう。(もちろん、なぜスケジュール通りにいっていないのか?という原因は、自分なりに言語化しておきましょう)

スケジュールの切り直しが無理なら無理って言いますし、どうにかできそうならどうにかします。そのためのプロジェクトマネージャーなんですから。

スケジュールをもっと切り直そう。

ということで、こう考えたら良いんじゃないかと思います。

  • スケジュールは守るようにしよう。でも思い通りに進まないことは当たり前にあるので、そんな時は迷わず周りに言ってスケジュールを切り直そう
  • スケジュール通りに進んでいない時は、実は「スケジュールを切り直さないこと」の方がリスク
  • スケジュールを切り直してからが勝負

さて、年末ということですでにお休みに入られた方もいらっしゃるでしょう。ゆっくり休んでください。

仕事納めまでもう少しという方には、ご自身のタスクの期限日を確認して、難しそうな場合はスケジュールの切り直しをしましょう。余裕があれば周りの人のタスクで期限日が切れていてやばそうなものがないか? 確認しておきましょう。

ご安全に、どうぞ良いお年をお迎えください。